「〇〇さんから”自分とは意見が違う”と、否定された」それって、本当ですか?

こんにちは。心理セラピストの江澤さおりです。

 

あなたは、職場の人間関係で悩んでいませんか?

 

「〇〇さんから”自分とは意見が違う”と、否定された」

 

一瞬聞いただけでは納得してしまうかもしれませんが、実はここに、コミュニケーションミスになる要素がひそんでいるんです。

 

この記事では、職場の人間関係でよく起こるコミュニケーションミスの原因と対策をご紹介します。

 

あなたがこの記事を読むことで、職場の人間関係に悩む時間を減らし、もっと自分らしく働けるようになることを願っています。

 

 

コミュニケーションミスの原因は「認知の歪み」

コミュニケーションミスとは、相手の言葉や態度を自分の思い込みや感情で解釈してしまい、相手の本当の意図と違う反応をしてしまうことです。

 

例えば、「自分とは意見が違う」と言われた時に、「自分を否定された」と感じてしまうのは、コミュニケーションミスの一つです。

 

実際には、相手は自分の考え方を否定しているわけではなく、単に異なる視点や判断基準を持っているだけかもしれません。

 

しかし、自分はその言葉を聞いて、「相手は自分を認めてくれない」「自分は価値がない」と思ってしまうかもしれません。

 

このように、自分の認知が歪んでしまうことを「認知の歪み」と呼びます。

 

「認知の歪み」とは

認知の歪みは、人間が持つ心理的な防衛機制の一つです。

 

人間は、自分の世界観や自己評価を保つために、都合の良いように物事を解釈したり、無意識に情報を選択したりします。

 

これは、ストレスや不安を軽減する効果がありますが、同時に現実と乖離した思考や感情を生み出すリスクもあります。

認知の歪みにはさまざまな種類がありますが、代表的なものに以下のようなものがあります。

 

  • 「すべてか無か」思考
    物事を極端に二分して考えること。
    例えば、「完璧じゃなきゃダメ」「少しでも失敗したら無能」など。

  • 「過度の一般化」
    一つの出来事や例からすべてに当てはめて考えること。例えば、「今回失敗したから、私は何でもダメだ」など。

  • 「思い込み」
    根拠や証拠がなくても自分の思い通りに物事を判断すること。
    例えば、「あの人は私のことを嫌っているに違いない」など。

  • 「感情的推論」
    自分の感情や気分で物事を決めること。例えば、「私は不安だから、この仕事は無理だ」など。

  • 「レーベル付け」
    自分や他人に否定的なレーベルをつけてしまうこと。
    例えば、「私は無能だ」「あの人は傲慢だ」など。

 

認知の歪みは、誰にでも起こりうるものですが、特に職場の人間関係では、多くのストレスやプレッシャーにさらされるため、発生しやすいと言えます。

 

認知の歪みが起こると、自分や他人に対する評価が低くなり、自信やモチベーションが失われたり、コミュニケーションがうまくいかなかったりします。

 

その結果、職場でのパフォーマンスや満足度が低下し、仕事に対するストレスがさらに増えるという悪循環に陥る可能性があります。

認知の歪みを正す方法

では、認知の歪みを正すにはどうすれば良いのでしょうか?

 

ここでおすすめしたいのが、「それって、本当ですか?」と自分に問いかける方法です。

 

この方法は、認知行動療法という心理療法の一つで使われるテクニックです。

 

認知行動療法とは、自分の考え方や行動パターンを変えることで、感情や症状を改善する心理療法です。

 

認知行動療法では、自分の考え方や信念を客観的に検証し、合理的でポジティブなものに置き換えることを目指します。

 

「それって、本当ですか?」と自分に問いかける方法は、その一つの手法です。

 

この方法では、自分が抱いたネガティブな思考や感情に対して、「それって、本当ですか?」と問いかけます。

 

そして、その思考や感情が事実に基づいているかどうかを確認し、根拠や証拠を探します。

 

もし事実に基づいていないと分かったら、「それは認知の歪みだ」と気づきます。

 

そして、「それよりももっと合理的でポジティブな考え方はないか?」と探します。

 

その際には、「自分以外の人が同じ状況にあったらどう考えるだろうか?」と想像することも役立ちます。

 

このようにして、自分の考え方や感情を修正していきます。

 

これを繰り返すことで、自分の認知の歪みに気づきやすくなり、コミュニケーションミスを減らすことができます

例1:上司から「意見が違う」と言われた時

あなたは上司から「意見が違う」と言われた時に、「上司は私を否定している」と感じてしまいます。

 

これは、「思い込み」という認知の歪みです。

 

上司はあなたの意見が違うだけであって、あなた自身を否定しているわけではありません。

 

しかし、あなたは上司から否定されていると思い込んでしまいます。

 

これを正すには、「それって、本当ですか?」と自分に問いかけます。

  • 「上司は私を否定しているという事実や証拠はあるのか?」
  • 「上司は私の意見が違うと言っただけで、私の能力や人格について何か言ったのか?」
  • 「上司は私だけでなく、他の人にも意見が違うと言っているのではないか?」
  • 「上司は私の意見を聞いてくれたり、フィードバックをしてくれたりしているのではないか?」

このように考えると、上司は私を否定しているという思い込みは根拠がないことに気づくでしょう。

 

それよりももっと合理的でポジティブな考え方は、「上司は私の意見を尊重してくれているが、異なる視点や目標を持っているから意見が違うだけだ」という考え方です。

 

これなら、上司との関係が良好であることを認めつつ、意見の違いを受け入れることができます。

 

また、「自分以外の人が同じ状況にあったらどう考えるだろうか?」と想像すると、上司から「意見が違う」と言われたら、「それは興味深い。どうしてそう思うのか教えてほしい」と聞き返したり、「私はこう考えているんだけど、どう思う?」と対話したりする人もいるでしょう。

 

これなら、上司とのコミュニケーションが活発になり、お互いに理解し合える可能性が高まります。

例2:同僚から無視された時

あなたは同僚から無視された時に、「同僚は私のことを嫌っている」と感じてしまいます。

 

これは、「感情的推論」という認知の歪みです。

 

同僚があなたを無視したという事実から、あなたは自分の感情や気分で物事を決めてしまいます。

 

しかし、実際には、同僚があなたを無視した理由は様々な可能性があります。

 

例えば、同僚は忙しかったり、気分が悪かったり、気づかなかったりしただけかもしれません。

 

あなたはその可能性を考えずに、自分の感情に基づいて結論を出してしまいます。

 

これを正すには、「それって、本当ですか?」と自分に問いかけます。

 

  • 「同僚は私のことを嫌っているという事実や証拠はあるのか?」
  • 「同僚は私に対して常に無視しているのか?」
  • 「同僚は他の人にも無視しているのではないか?」
  • 「同僚は何か理由があって無視したのではないか?」

 

このように考えると、同僚は私のことを嫌っているという感情的推論は根拠がないことに気づくでしょう。

 

それよりももっと合理的でポジティブな考え方は、「同僚は私のことを嫌っているわけではなく、何か別の理由で無視しただけだ」という考え方です。

 

これなら、同僚に対するネガティブな感情を持たずに済みます。

 

また、「自分以外の人が同じ状況にあったらどう考えるだろうか?」と想像すると、同僚から無視されたら、「大丈夫かな?何か困っていることがあるのかな?」と心配したり、「今は話しかけない方がいいのかな?後で聞いてみよう」と配慮したりする人もいるでしょう。

 

これなら、同僚に対する思いやりや関心を持つことができます。

 

まとめ

職場の人間関係で悩むあなたへ。

 

あなたが感じている悩みや苦しみは、実はコミュニケーションミスの結果かもしれません。

 

コミュニケーションミスの原因は、認知の歪みという心理的な現象です。

 

認知の歪みは、自分の考え方や感情が事実に基づいていないことを意味します。

 

認知の歪みを正す方法は、「それって、本当ですか?」と自分に問いかける方法です。

 

この方法では、自分が抱いたネガティブな思考や感情に対して、「それって、本当ですか?」と問いかけて、事実に基づいているかどうかを確認し、根拠や証拠を探します。

 

そして、事実に基づいていないと分かったら、「それは認知の歪みだ」と気づきます。

 

そして、「それよりももっと合理的でポジティブな考え方はないか?」と探します。

 

このようにして、自分の考え方や感情を修正していきます。

 

これを繰り返すことで、自分の認知の歪みに気づきやすくなり、コミュニケーションミスを減らすことができます。

 

職場の人間関係で悩んでいるあなたには、この方法を試してみてほしいと思います。

 

もちろん、この方法だけでは解決できない場合もあります。

 

そんな時は、プロの心理セラピストに相談することもおすすめします。